入口で、ロウソクと線香を売っていたので、買ってみた。いずれも、真っ赤なもので、日本人的な感覚からすると、ちょっと派手すぎるように感じる。
本堂にあたる建物の前には、多くの人が線香を手にお祈りをしていた。
線香に火をつけて、それを目の前に捧げながら、自分の名前と住所を唱え、その後に、お祈りしたいことを述べる。
こちらは、半分観光気分で、軽い気持ちでお祈りしているが、周囲では、真剣な思い詰めた表情で、熱心にお祈りを捧げている人が多い。
本堂の奥には、本尊の観世音菩薩が鎮座している。金ピカの世界。日本の古びた仏教のイメージは全くない。
本尊をよくよくみると、面長で端正な顔立ちをしている。女性のように見える。
日本でも、観音様は時に女性として描かれることがある。その地にある、女神への信仰と観音信仰が融合したのだろう。
本堂の柱の彫刻には、龍を始め、植物や鳥など、複雑な模様が見事に彫られている。
本堂の奥には、沢山の小さな堂があり、それぞれに、仏様や他の神々を祀っている。
入口で買った線香は、本堂だけでなく、こうしたお堂の前にも、一つ一つ、願い事を叶えながら、お供えして行く。
龍山寺には、二つの赤い木の実のようなものを地上に投げて、その落ち方で占いをする、という不思議な占いがある。それを行っている人たちも何人かいた。
この寺は、文字通り仏教のお寺だが、福建地方を中心に信仰される媽祖(天上聖母)や、三国志の関羽(関聖帝君)、日本の天神様にあたる学問の神様(文昌帝君)なども祀られている。
媽祖は、船の航行や漁業を守護する神として、香港やマカオ、シンガポールでも、重要な神様として祀られている。
団体の観光客の人々が、写真を撮ったり、わいわいがやがやと騒いでいるその間で、地元の信者が熱心にお祈りしている。
そこに祀られている神や仏も、そして、そこを訪れる人々も、とにかく、ごっちゃ煮。
この龍山寺という場所は、台湾という国のことを、象徴している場所のように思えた。
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