2015年3月21日土曜日

松山空港へ向かうため台北駅へ

いよいよ、台湾旅行も終わり、日本を帰る。

松山空港までの車に乗るために、台北駅へ。


台北駅は、中央が巨大な吹き抜けになっており、壮観。床に寝そべって、天井を見上げている人々も何人かいた。


ちょうど、日本の東京駅のような位置付けなのだろう。ここから、台湾の各地に向かう人々で、とにかく賑わっていた。

台湾の人々もいれば、日本人や欧米からの観光客もよく目につく。


駅のホームは、すべて地下に移されてしまっているので、今ひとつ、駅という感じがしない。

観光客向けの土産物屋やレストランが多いので、駅というよりは、ショッピングセンターという雰囲気の方が強かった。

旅の最後は孫文にゆかりの逸仙公園へ

台湾旅行の最後に、台北駅のすぐ近くにある、孫文にゆかりの逸仙公園を訪れた。

孫文は、1913年に台湾を訪れ、梅屋敷という高級旅館に滞在した。後に、その建物を、この場所に移築し、逸仙公園とした。


公園の入り口には、孫文の銅像が置かれていた。


公園の中は、池を中心にした庭園と、かつての梅屋敷の建物が建っているだけの、意外に小さな空間だった。


この公園の周囲は、台北駅の間近ということで、多くの車や、台北名物のオートバイが行き交っており、騒々しい雑然とした町並みだが、この公園の中だけは、時間がゆっくりと流れているよに感じる。


公園の中の大きな木は、南洋の植物らしく、根が地上に盛り上げって、奇妙な造形をさらしている。


孫文は、おそらく、台湾を訪れたのは、一度だけだったのだろう。

まさか、将来、自分が、中国の本土ではなく、台湾の地で、国父と呼ばれるようになるとは、夢にも思わなかったに違いない。

台北の現代美術館でドイツの現代アート作品を鑑賞する

台湾旅行の最終日。迪化街を後にして、そのままブラブラと、台湾駅の方まで、街中を散策することにした。

途中、大きな問屋街を通り抜けた。衣料品関係の問屋街のようで、様々な衣装に混じって、日本にもありそうな、動物やキャラクターの被り物も、店頭を飾っていた。

問屋街を抜けてしばらく行くと、左手に、赤いレンガの台北当代芸術館が見えてきた。


日本の統治時代、1930年に小学校として建てられた建物を、リノベーションしたようだ。


館内に入ると、古さと新しさが、見事に融合された、素晴らしい雰囲気になっている。


この芸術館では、内外の現代アートを企画展を中心に展示を行っている。訪れた際は、ちょうど、ドイツの現代アーティストたちの作品を展示していた。


日本のポケモンなども取り入れた作品。


モビールと写真を組み合わせた作品。

台北の現代美術館で、ドイツの現代アート作品を鑑賞するというのは、なんとも不思議な体験ではあった。

台北の民藝館で優雅な午後のお茶を楽しむ

迪化街の中に、民藝埕という小綺麗な店を見つけた。


文字通り、台湾の民芸製品を扱っているお店ようで、2階には展示スペースとカフェになっている。

店の中は、京都の民家のように、鰻の寝床のようで、奥までスペースが続いている。


柳宗理を紹介する雑誌や、彼がデザインした製品が展示されていた。

どうやら、日本の駒場にある柳宗悦の日本民芸館をイメージして作られている店のようだ。


少し歩き疲れたので、2階のカフェで中国茶をいただくことにした。

2階のインテリアも、シンプルでモダンな雰囲気で統一されていて、心が落ち着く。


中国茶のメニューは、匂いを確かめることができるサンプル付き。これは嬉しいが、迷いに迷ってしまった。


結局、東方美人のうちのひとつを注文した。

窓からは、迪化街の通りが見下ろせて、優雅な雰囲気で、午後のお茶を楽しむことができた。

会計の際に、対応してくれた若い女性に、柳宗悦のことをたずねたが、残念ながら、彼女は知らないとのことだった。

庶民的な感覚に溢れた永楽市場

迪化街のパワースポット。霞海城隍廟のすぐ隣に、永楽市場がある。

永楽市場は、2000年に建てられた雑居ビルの1階と2階に、小さな庶民的な商店が集まっている。


ビルの中には、京劇などが演じられる、劇場も入っている。


入口から入ったら、いきなり雑然とした風景が目に飛び込んできた。どうみても、観光客向けの市場ではない。この地域に暮らす人々のための市場のようだ。

そして、独特のにおい。

決して、臭いという訳ではないが、あまり快適なにおいではない。文字通り、永楽市場のにおい、といった感じだろうか。


こちらは魚屋。新鮮な魚が店頭に並べられており、お客とお店のおばちゃんの楽しそうな会話が展開されていた。

小さいお見せながら、多くの種類の魚が店頭に並べられている。


こちらは肉屋。豚ちゃんが、あられもない姿に解体されている。


このお店は、肉まんのような饅頭を売っていたが、すごい行列。どの客も、箱単位で、饅頭を買い求めていた。

ノスタルジックな雰囲気の迪化街へ

いよいよ、台北を、そして台湾を去る日となった。

飛行機は午後の便なので、午前中は、迪化街へ行くことにした。

MRTの淡水線の雙連から、民生西路という大きな通り沿いに、歩いて迪化街へ向かった。

途中、観光地ではない、台北の普通の町並みを目にすることが出来た。建ったばかりで、スタイリッシュでモダンなスタイルのマンションもあれば、かなり年期の入った古いマンションもある。

台北には、セブンイレブンに代表されるコンビニも多い。セブンイレブンでは、ちょうどおでんのPR中らしく、店頭の大きな写真の中では、台湾の女性のアイドルが微笑んでいる。

そうした光景は、日本の町中の風景にそっくりで、一瞬、自分が台北の町を歩いているのか、東京の町を歩いているのか、錯覚させるほど。

歩いて、20分ほどだろうか。交差点の信号に、”迪化街”という看板が見えてきた。


この迪化街は、台北市の西側を流れる大きな淡水河のすぐ近くにあり、この河を通じて運ばれる物資が、この辺りで荷揚げされ、それらを商う商店が、19世紀以降に立ち並ぶようになった。


交差点を曲がると、一気に雰囲気が変わり、その狭い通りを、レトロな雰囲気が漂っている。


商店は、漢方薬の薬や、干物が多い。じつにキレイに並べられている。どの店からも、漢方の独特の匂いが漂ってきて、街全体が異様な匂いに包まれている。


奥の方にカウンターが見えるが、やはり、なかなか入りにくい。

それでも中に入る人間は、常連さんか、よっぽどそこの商品を見てみたいか、どちらかだろう。

冷やかしの客を、自動的に排除する賢い仕組みだ。


迪化街の通りの真ん中ぐらいにある、永楽市場、という市場の周りには、飲食店街もあった。

安くて手頃な雰囲気なので、地元の人も、観光客も、思い思いに小腹を満たしている。

2014年8月16日土曜日

台北戯棚で京劇を鑑賞する

台北の最後の夜。市内にある、台北戯棚という所で、京劇を鑑賞した。

場所は、MRT淡水線の雙連という駅から、歩いて10〜15分ほどだった。中山北路という大きな通り沿いにあるので、すぐに見つかった。

大きなビルの中にあり、ビルのエントランスを入ると、関係者が大勢で来場者を迎えている。とてもいい”おもてなし”だ。

エレベーターで3階に上がり、劇場に入る。こじんまりとした劇場で、500〜600人ほど収容できるくらいだろうか。


この日のプログラムは、前半は操り人形による劇。そして後半が京劇だった。

ここに来る前は、京劇だけに関心があり、その前座とも言える、この操り人形劇にはあまり期待していなかったが、実際に目にしてみて、その技術の高さに驚かされた。


意図で操っている人形が、ブランコに乗ったり、扇子などの者を扱ったり、穴をあけて糸に通しているボールで遊んだりする。

ちゃんとしたストーリーもあり、浮気でお酒好きな夫を、しっかり者の妻が、まるで操り人形のように、夫を巧く操る、というわかりやすいストーリー。

実際も夫婦なのだろうか?と思われる男女の二人が、巧みに人形を操り、会場には笑いが絶えなかった。


そして、後半は、京劇。

この日の出し物は、金銭豹、という西遊記の中の物語。妖怪、金銭豹に娘を嫁がせる約束をさせられた親子を、孫悟空の一行が救う、というストーリー。

この京劇の主役は、孫悟空ではなく、悪役の金銭豹。上の写真のように、黒をベースにしたきらびやかな衣装をまとい、華麗でアクロバティックな踊りを展開する。

特に、長い剣を使った踊りは圧巻。一歩間違えば、大きな怪我をしてしまうそうだが、巧みに剣を扱い、観客をハラハラさせる。


上の写真は、劇のクライマックス。孫悟空と金銭豹の対決のシーン。中央にいるのが、別な衣装に着替えた金銭豹で、そのすぐ左隣で、黄色い衣装を着てポーズを決めているのが、孫悟空。

金銭豹の部下たちも入り乱れての格闘シーンは、全員の息が見事にピッタリとあって、素早い動きで、交錯しながら戦うシーンも、見事に決めた。

豚の面を被った猪八戒は、コミカルな演技で、所々で笑いを巻き起こし、観客の緊張を和らげる。

この台北戯棚は、元は台湾を占領していた日本人が所有する劇場だったが、台湾の実業家、辜顕栄が買い取って、中国の伝統的な芸術を演じる劇団に生まれ変わった。

この劇場が入っているビルは、辜顕栄の一族が経営する企業のビルでもあるという。

ショーが終わると、出演者が全員で、観客を見送りする。希望すれば、いっしょに記念撮影もしてくれる。

伝統的な中国の京劇などの演劇を、現代的な視点も入れて、観光客を中心に楽しませようとするその姿勢には、非常に好感を感じた。